先日、ある整体師の先生の電子書籍が完成しました。
その先生は、
電子書籍づくりをきっかけに、整体院の経営方針を見直したそうです。
私は経営に関して
とくに何もアドバイスはしていないのですが、
いっしょに本をつくっている最中に、色々と思うところがあったとのこと。
このように一冊の本をつくっていると、
自分のなかで漠然としていたことが浮き彫りになり、
これから進む方向が見えてくるというひとも
いらっしゃいます。
電子書籍は
優れた集客ツールという使い方もありますが、
著者の頭のなかを整理してくれるという
内観的な側面もあるんですね。
目次
電子書籍をつくりたいという整体師
整体師のS先生を紹介されたのは、半年前くらい。
知り合いの鍼灸師から
「電子書籍に興味があるひとがいるんだけど、相談にのって」
と頼まれたのがきっかけでした。
開業20年目の節目
S先生から話を聞いてみると、
来年で整体院を開業して20年になるので、その節目に
電子書籍をつくってみようかなと思っているということでした。
20年前に開業というと、ほぼ私と同じくらいだったので
お酒も入って話も盛り上がり、
「電子書籍、つくってみよう!」
ということになりました。
文章を書くのが苦手
ただ、S先生が心配していたのが
文章を書くことに慣れていないこと。
これまで書いていたブログも、
月に数回程度の更新だけ。
本人曰く、
文章を書いていると眠くなる
のだそうです。
わたしもです。
治療が終わって、
明日の準備をして、
さてブログを書こうかと思ってパソコンを開いて数分後には
まぶたが重くなります。
ですからS先生には、
電子書籍づくりは仕事の合間にやりましょう
と話してスタートしました。
プロフィールで人生の棚卸し
『組み立て式 電子書籍つくろう!』
では、本文を書く前にまず
プロフィールをつくってもらいます。
なぜなら、そのほうが本文の内容が豊かになるから。
電子書籍づくりの一歩目
これまで多くの治療家の電子書籍を手伝ってきて思うのは、
「引き出しが錆びついてるな~」
ということです。
私がつくりたい電子書籍は、著者の人となりが文章ににじみ出ているもの。
単に著者が持っているノウハウを伝えるだけの本だと、
そのあとの集客やファンづくりの役に立たないからです。
電子書籍を通じて、
治療家の考えかたや思い、大事にしているものが伝わるような
電子書籍がつくりたい。
そのためには、著者の人生の棚卸しをしてもらわなければ
深みが出てきません。
直接添削できるひとには、私が話を聞きながら
過去のことを振り返ってもらうのですが、
とにかく引き出しが硬い…。
せっかく良いものを持っているのに、
引き出しが錆びついているので、
引っぱりだすのが大変なのです。
「こんな話、関係ないのでは?」
「大したことないですよ」
「恥ずかしい…」
といった錆を落として引き出しを開けて
著者の人となりを本に活かすのです。
その第一歩目が、プロフィールづくり。
まずは著者自身に過去を振り返ってもらって、
そのひとの歴史を思い出して、言葉に起こしてもらう。
プロフィールをつくるというのは、
まさに
人生の棚卸しのきっかけになるんです。
単なる経歴は意味がない
著者が今に至るまでに、どんな経験をしたのか。
それを単に時系列に並べても、
あまり面白くありません。
それなら、本を書きおわったあとに
ちょいちょい
とまとめればいい話なので。
電子書籍の本文を書く前にプロフィールをつくるのは、
本文を豊かに、面白くして、さらに
読者に著者のキャラクターを印象づけるため。
ですから、淡々と同じ時間軸で書かずに、
人生の山場をつくって
そこで感じたこと、決意したこと、思い描いたビジョンなどを
凝縮して伝えることが大事です。
整体師のS先生にも、そのための棚卸しを
してもらいました。
本にすることで整理できる
一つのテーマについて自分の考えをまとめて
一冊の本にすることは、
最高の自己啓発の方法だと思います。
頭の中を編集する
私自身がそうなのですが、
人生で起きたことが
ぶつ切り
になってしまうのです。
先週のマーケティングセミナーで聞いた話。
目の前で悩んでいるクライアントのこと。
過去の施術の失敗。
新しい施術メニューの開発。
スタッフの雇用。
小さいころの夢。
嫁との関係。
昔、師匠に怒られた話。
関係ないようにみえて本当はつながっているのに、
それはそれ、これはこれ
とぶつ切りにしてしまう。
そうすると、人間的にちっちゃくなってしまいます。
ひとつながりの壮大な物語を生きてきたひとと、
切り分けられた短い物語を生きて、
しかもその一つずつがバラバラで活かされていないひと。
どちらのほうが魅力的な人間かってことです。
私の仕事は著者を魅力的な人間として
高く買ってもらうことなので、
本のテーマを中心に
とにかくいろんなことをつなげます。
そうすることで、
著者の頭でバラバラだったことが編集されると、
一本筋が通るようになります。
「ああ、過去にこういうことがあって、それで今がある。だったら今後は、こういう方向だな」
という筋が、本をつくりながら見えてきます。
これが、本づくりの魅力のひとつです。
読者に向けて書くと客観的になる
本のいいところは、
他人に向けて分かるように書く
というところ。
そうすることで、潜在的にモヤモヤしていたことも形になるし、
なにより客観的に自分を眺めることができます。
だれにも読まれない自己完結の文章もいいですが、
だれかに読んでもらおうとすると、
一歩引いた目で自分を見なければ書けません。
ということは、
ぶつ切りになった小さな物語の中で自分だけの世界に浸っていたところから、
本づくりをきっかけに
ひとつながりの大きな物語を客観的に眺めるようになります。
すると、
こだわっていたけれど必要ないものや、
逆に
忘れていたけれど大事なことが見えてきます。
整体師のS先生のなかで、どこまでの変化があったのかは分かりませんが、
いっしょに電子書籍をつくるなかで
「そっか!」
を連発されていたのを覚えています。
その結果、S先生は計画していた多店舗展開を保留にして
今年はスタッフを育てることに専念することにしました。
それが良いのか悪いのかは私の判断するようなことじゃないんですが、
S先生の生き生きした様子をみると、
手伝いができて良かったなと思います。
まとめ
電子書籍は、効果的な治療院の集客ツールであるとともに、
最高の自己啓発の方法です。
今回のS先生は、たまたまタイミング的に悩んでいた時期だったこともあり、
本づくりが
ご自身を振り返る良いきっかけになりました。
一人で運営している治療家や整体師、セラピストは、
全ての責任が自分にあります。
施術はもちろん、経営の事も考えなければなりません。
そんなとき、
経営のコンサルティングを受けるのはとても大事だと思います。
プロの目から見てもらえますからね。
でも最終的に決めるのは自分。
悩んでいるときに、自己啓発の本を読むのもいいですが、
自分で本を書いてみる
ということをおすすめします。
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